不動産用語集
あ行
RC造 アールシーゾウ |
Reinforced Concrete造の略で、鉄筋コンクリート造のこと。鉄筋は引張力に強く、コンクリートは圧縮力に強いという両者の利点を生かし、鉄筋でコンクリートを補強した構造。高層建築になるほど下層部分の柱、梁を太くする必要があるので全体重量が増加するため、多くは中層建築物の建設に用いられる。 |
青田売り アオタウリ |
元来は「稲が十分に成熟しないうちに収穫高を見越してあらかじめ産米を売ること」の意味であるが、不動産業界においては、未完成の宅地あるいは建物の売買等をいう。青田売りについては、宅建業法により広告の開始時期の制限(同法33条)、工事完了時における形状・構造等の書面による説明(同法35条1項5号)、契約締結等の時期の制限(同法36条)、手付金等の保全(同法41条)の規制を受ける。 |
一般定期借地権 イッパンテイキシャクチケン |
平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された定期借地権制度の一形態(借地借家法22条)。この借地権は、存続期間を50年以上とし、更新、建物買取請求権を認めないもので、存続期間の満了により借地契約が終了する。したがって、借地権者は、期間終了時には、、建物を取り壊して土地を更地で返還することになる。この借地権を設定する場合には、(1)更新による存続期間の延長がないこと、(2)建物が再築されても期間の延長がないこと、(3)契約終了時に建物買取請求をしないこと—の3つの特約を約定することが必要であり、特約は、公正証書による等書面によってしなければならないと法律上要求されている。主な利用目的として、賃貸・分譲住宅、賃貸ビル、個人住宅等が考えられる。 |
一般媒介契約 イッパンバイカイケイヤク |
媒介契約の一形式で、依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することが許されるもの。一般媒介契約が締結されても、依頼者は他の宅建業者ヘの依頼が制限されないので、有利な取引の機会がそれだけ広くなるが、宅建業者の側からすれば成功報酬を得られる保証がないため、積極的な媒介行為を行わない場合もある。一般媒介契約には、他に依頼した業者名を明らかにする明示型とこれを明らかにしない非明示型とがある。なお、一般媒介契約を締結するときは、国土交通大臣の定める標準一般媒介契約書によることが望ましいとされている。 |
移転登記 イテントウキ |
ある権利を有した人から他の人へ、その権利が移転したことによってなされる登記をいう。記入登記のひとつである。記入登記とは登記をその内容によって分類した場合のひとつで、新しい登記事項が生じた場合これを登記簿に記入することを目的としてなすものをいい、ほかに表示登記、保存登記、設定登記及び処分制限の登記がこれに属する。移転登記は、附従性を持つ地役権を除き、登記できるすべての権利についてなされる。なお、所有権の移転登記は主登記でなされ、所有権以外の権利の移転登記は附記登記でなされる。 |
委任・準委任 イニン・ジュンイニン |
不動産の売買や賃貸借の契約の締結といった法律行為を他人に委託することを委任という(民法643条)。法律行為以外の事務の委託をすることは準委任といい(同法656条)、委任の規定が準用される。不動産売買の媒介などは準委任と解されている。準委任には委任の規定が準用されるから、民法上は両者に大差はない。委任自体も契約であり、通常委任事項を明記した委任状又はこれを記載しない白紙委任状が交付される。委任はとくに報酬を定めない場合は無償とされる(同法648条)が、費用は前払を受けることができ(同法649条)、立て替えたときはその額と利息を請求することができる(同法650条)。委任契約は、委任者又は受任者の死亡や破産のほか、受任者が後見開始の審判を受けると終了する(同法653条)ほか、当事者双方はいつでも解除できる(同法65l条l項)。なお、宅建業者が宅地建物取引業の業務に関して媒介をする場合は、特約がなくても報酬請求権が認められ、有償である(商法5l2条)。 |
居抜き イヌキ |
家具や設備がついたままでの売買、あるいは賃貸借のこと。多くは飲食店、旅館等で営業用の設備、装飾品等の経済的価値のあるものがついたままでの売買、転貸、賃借権の譲渡をいう。この取引にあっては、対象となる不動産の価値よりも、それに付着する設備等の価値の判断が重要となる。また、賃借人がついたままでマンションやビルを売買する場合には居付きという。 |
違約金 イヤクキン |
契約に定めた事項に違反した者が相手方に対して支払う金銭をいう。違約罰のひとつである。一般に、契約に違反(債務不履行)した者は、法律に基づき、その違反によって相手方が被った損害を賠償しなけれぱならない(民法415条)が、違約金は、当事者が契約を締結する際、「この契約に違反した者は相手方に対して金100万円の違約金を支払う」というように、金額まで決めておくことに特徴がある。違約金の性質は契約によって定まるが、民法は賠償額の予定と推定している(同法420条3項)。賠償額が予定されると、違反者は損害が発生していないとか、実際の損害は予定額より少ないなどと争うことができないことになる。 |
請負契約 ウケオイケイヤク |
請負人がある一定の仕事を完成させ、注文者がこれに報酬を支払う契約をいう(民法632条)。一般的には建物の建築とか土木工事など有形的な仕事についで締結される。注文者は完成した目的物の引渡しを受けるのと同時に報酬を払えぱよい(同法633条)。これに暇癌があれぱ修補や損害賠償の請求ができる(同法634条)。また、注文者は仕事が完成するまでならいつでも請負人の損害を賠償して契約を解除することができる(同法64l条)。 なお、土木建築等の業者との請負契約についでは、紛争予防のため必ず法定の内容の書面(通常は契約書)を作成交付しなけれぽならず(建設業法19条)工事について紛争を生じたときは、建設工事紛争審査会でもその解決を図る途が開かれている(同法25条以下)。 |
売建住宅 ウタジュウタク |
ディべロッバーが開発した宅地を売り、取引の際、その土地への住宅建築を購入者の選択、意向に沿って受注して建てる住宅のこと(建売住宅は企業側が自社の計画で建てた住宅を売る)。言葉のうえでは建売住宅のバリエーションのようにも思われるが、実質は個別受注建設に近い。建物を造っての販売よりも、リスクを少なくする利点などがある。 |
売渡承諾書 ウリワタシショウダクショ |
所有者又は売却予定者が、第三者を名宛人として発行する売却の可能性を表明する文書のこと。発行人の売却意思を推定するに足る価格・時期・物件 |
SRC造 エスアールシーゾウ |
SteelReinforcedConcrete造の略で、鉄骨鉄筋コンクリート造のこと。骨組を鉄骨でつくり、その周囲に鉄筋コンクリートをかぶせてその主要な構造部分をつくる建築方法。強度に優れ、高層住宅、高層建築物の建設に多く用いられる。 |
エスクロー | 語源は押印書類の巻き物を意味するescroue(古代フランス語)で、未受渡押印済み証書ともいう。米国においてヨー口ッパ諸国の移民が持ち込んだ各国の不動産取引商習慣が整理淘汰され、実務的な取引の安全確保を図る第三者寄託の制度となつて発展し定着したもの。不動産取引の当事者は合意に達すると取引の_件書類寺第三者(エスクローホルダー)へ寄託する。第三者は当事者が寄託した代金や権利証書等を確認し、それぞれの当事者に代わって物件の確認。決済.・登記・引渡しを行ぅことにより、取引の安全と契約履行を確保する制度である。 |
か行
買換え特約 カイカエトクヤク |
住宅を買い換える場合、手持ち物件の売却前に新規物件の購入契約を締結すると、手持ち物件を売却できないと非常に困ることになる。そこで、そのような事態に備えるためには、購入契約に「○月○日までに○○万円以上で手持ち物件を売却できなかったときは、本契約を白紙解除できる」旨の特約をつける必要がある。この特約を買換え特約という。 |
解除条件 カイジョジョウケン |
将来不確定な事実が発生することによって、契約等法律行為の効果が消滅する場合の、不確定な事実をいう(民法127条2項)。反対に、契約等の効果の発生が不確定な事実にかかっている場合を停止条件という(同法127条1項)。売買契約を締結し、転勤になったらこの契約を失効させるという条項を入れるような場合、解除条件付売買契約という。条件を付けるかどうかは当事者の自由であるが、婚姻、養子縁組、相続の承認、放棄、手形の裏書(手形法12条1項参照)などについては、不安定な法律関係を続けることは相当でないから条件は付けられない。相殺も、相手方を不安定にするから同様である(民法506条参照)。 |
買付証明書 カイツケショウメイショ |
購入希望者が所有者、又は所有者となる予定の第三者を名宛人として発行する購入の可能性を表明する文書である。発行人の購入意思を推定するに足る価格・時期・物件の範囲等を表示し記名押印を行う。しかし、購入希望者の確定的意思表示ではないので、これにより購入の義務までを負うものではない。不動産業界でも、発行人は随時これを撤回・取消し・否認できるものとして取り扱っている。発行人は所有者及ぴ所有者となる予定のある名宛人に発行した買付証明書が、第三者に流通しても直接の責任を負わない。媒介業者はこれをもって発行人の購入意思の説明に使うことができる。 |
開発許可 カイハツキョカ |
開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(政令指定都市、中核市、特例市にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。ただし、原則として、市街化区域においては1,000未満、区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域においては3,000未満、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内においては1へクタール未満の開発行為についでは許可が不要とされている。また、市街化区域以外の区域内における農林漁業のための建築物の用に供する目的で行う開発行為のほか、社会福祉施設や医療施設等の公益的建築物の用に供する目的で行う開発行為、国や都道府県等の行う開発行為、都市計画事業の施行として行う開発行為等も許可が不要とされている。 許可が必要とされた開発行為には、宅地に一定の水準を保たせようとするため道路や公園等の公共空地の確保、給排水施設の配置、防災措置等に関する技術基準(都計法33条)が適用される。ただし、市街化調整区域における開発行為に限り、技術基準に加え、市街化調整区域において許可を受けることができる開発行為を限定する立地基準が適用され、他の区域よりも厳しい規制を受けることとなる。 |
買戻しの特約 カイモドシノトクヤク |
不動産‐の売買契約と同時に、一定期間経過後売主が代金と契約の費用を返還して不動産を取り戻すことができることを内容とする契約解除の特約をいう(民法579条)。特別の合意のない限り、買戻期間中の不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなされる(同法579条ただし書)。買戻しの期間は10年を超えることができず、10年を超える期間を定めたときは、その期間は10年とされ、その期間の更新は認められない。また、期間の定めをしなかったときはその期間は5年とされる(同法580条)。買戻しの特約の登記は、買主の権利取得の登記に附記して登記することとされており(不動産登記法59条の2)、この登記をしておけば第三者にも対抗できる(民法581条)。買戻しの特約は担保の一方法であるが、公的事業主が分譲した住宅・宅地等においては、転売防止などを担保するために利用される。再売買の予約は登記をせず、動産もその対象とされ、また再売買代金にも制限がない点で買戻しと異なる。 |
解約手付 カイヤクテツケ |
いったん締結した売買契約を、後に解除しうることとして授受される手付をいう。一般にその金額についての制限などはないが、宅建業者が宅地建物の売主の場合には、20%を超えることはできない(宅建業法39条)。解約手付が授受されると、買主からはそれを放棄すれば、また売主からはその倍額を返しさえすれば、契約を解除することができる(民法557条1項)。ただし、相手が契約で定められたことを始めるなど履行に着手すると、手付解除は認められない。解除の方法などは一般の場合と同様であるが、手付額、又は倍額のほかに損害賠償を請求することはできない(同法557条2項)。手付には、このほか証約手付、違約手付がある。 |
価格査定 カカクサテイ |
宅建業者が売却の媒介依頼を受けた不動産に関し、専門家の立場から依頼者へ助言する合理的希望価格の形成のための成約見込価格を調査・算出することをいう。業者は売買すべき価額について依頼者に意見を述べるときは必ず一定の標準的手法に従い、選択した取引事例を根拠として明示し、依頼を受けた不動産と比較検討して、客観性ある実際的な成約見込価格によらなければならない。この手法が価格査定マニュアルである。これに要する費用は媒介の成功報酬に含まれる(宅建業法34条の2第2項)。 |
瑕疵担保責任 カシタンポセキニン |
売買の目的物に隠れた瑕庇があったとき、売主が買主に対して負う責任をいう(民法570条)。「売主の担保責任の一形態である。瑕疵とは、建物にシロアリがついでいたとか、土地が都市計画街路に指定されていたことなどをいう。買主は、善意無過失である限り、契約時にわからなかった瑕疵のために損害を受けたときは、売主に対して賠償請求をすることができる。また瑕疵のため契約の目的を遂げることができない場合には、契約を解除することができる(同法570条において準用する566条1項)。ただしこれらは、買主が瑕疵を知ったときから1年内にしなけれぱならない(同法570条、570条において準用する566条3項)。また強制競売で物を買った(競落した)場合には、買主にこれらの権利は与えられない(同法570条ただし書) |
瑕疵担保特約についての特約制限 カシタンポトクヤクニツイテノトクヤク |
宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についでこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされている。買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年末満の期間とすることのほか、契約解除も損害賠償も認めず補修のみを行うとするもの、瑕疵の箇所によっては責任を負わないとするもの等があげられる。宅建業法は、このような買主に不利な特約を制限するとともに、これに反した特約は無効としている(宅建業法40条)。 |
瑕疵担保特約についての特約 カシタンポトクヤクニツイテノトクヤク |
住宅品質確保法に定められた民法の瑕疵担保責任規定の特例規定。新築住宅の請負契約の請負人は注文者に引き渡した時から10年間、新築住宅の売買契約の売主は買主に引き渡した時(請負契約に基づき請負人から売主に引渡された場合はその引渡しの時)から10年間、住宅のうち構造体カ上主要な部分又は雨水の混入を防止する部分として政令で定めるものについでの瑕疵についての担保責任を負うとする特例(住宅品質確保法87条1項、同法88条1項)であり、この特例に反する特約で注文者に不利なものは無効とされる。 請負契約の場合、その注文者には、修補講求、修補講求に代わる損害賠償請求、修補講求とともにする損害賠償請求が認められ、売買契約の場合、修補講求、修補講求に代わる損害賠償請求、修補講求とともにする損害賠償請求、契約の解除(契約の目的を達成することができない場合)が認められる。 |
壁式工法 カベシキコウホウ |
主として、低中居の共同住宅などの建築に用いられる構造形式のひとつ。 骨組構造のように柱や梁を使わないので、建物の内外に余分な突出部分がなく、空間を効率よく利用できる。また、力学的な安全性を確保するため、壁量、壁厚などに制限が設けられ、非常に堅固な建物となる。骨組構造に比較して経済的であるとして普及しているが、柱、梁がないため階数に限度があるとされ、高層建築には不向きといわれている。 |
仮差押え カリサシオサエ |
金銭債権を保全するため、債務者の財産を確保し、将来の強制執行を確実なものにする目的で仮に差し押さえることをいう。これら債権の弁済を受けるためには、最終的には判決を得て強制執行に着手するのであるが、それまでの間に債務者が財産の隠匿、逃亡等をしないように、仮差押えをして財産等の処分禁止をしておく。債権者は、自己の債権と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮差押命令をもらい(民事保全法20条以下)、債務者の不動産、動産、債権等の仮差押執行をする(同法47条以下)。債務者は仮差押えされた財産を処分しても仮差押債権者には対抗することができない。 |
仮処分 カリショブン |
物の引渡しを求めうる権利などについての強制執行を保全するため、その目的物についで保管人を置いたり、相手方に一定の行為を命じたりする仮の処分をいう。土地や家屋の引渡しの強制執行は、その物の占有者を相手方とする判決等により、その占有を排除して行われるが、判決等を得て執行するまでの間に、占有者が代わったり現状を変更されたりすると、その判決で執行することができなくなったり、著しく困難となったりするので、仮処分が利用される。債権者は自己の権利と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮処分命令をもらい(民事保全法23条以下)、仮処分の執行をしておく(同法52条以下)。命令に反した場合、仮処分債権者に対抗することができない。 |
仮登記 カリトウキ |
終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上又は手続法上の要件が完備していない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめなす登記をいう(不動産登記法2条)。後日要件が完備して本登記がなされれば、仮登記の順位が当該本登記の順位になるという順位保全効力を有する(同法7条2項)が、仮登記のままでは対抗力はない。このような仮登記の一時的・仮定的性格にかんがみ、実務上仮登記申請の際には登記済証、利害関係人の承諾書の添付は必要とされず、さらに法律上仮登記権利者が単独で、仮登記義務者の承諾書を添付してする方法(同法32条)や仮登記仮処分命令によってする方法(同条33条)等、仮登言己申請の特則が設けられている。 |
管理規約 カンリキヤク |
区分所有建物の管理及びその使用についての区分所有者相互間で取り決めたルールである。区分所有法は、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」(区分所有法30条)とし、この制定及び改廃は、区分所有者及び議決権(専有部分の割合による)のそれぞれ4分の3以上の多数による集会の決議による。なお、この規約は、区分所有者全員にその効力が及ぶだけでなく、譲受人(特定承継人)にも及ぶ。 |
管理業務主任者 カンリギョウムシュニンシャ |
国土交通大臣が指定する者((社)高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者登録簿への登録を受け、国土交通大臣から管理業務主任者証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとす国土交通大臣が指定する者(・高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者音録簿への脊録を受け、国土交通大臣から管理業務主任考証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとする際の区分所有者等及び管理者等に対する重要事項説明、管理事務に関する報告等の事務を行う。マンション管理業者は、その事務所ごとに、当該管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合数を30で除したもの(1未満の端数がある場合は切り上げる。)以上の成年である専任の管理業務主任者を置かなければならない(同法56条1項、同法施行規則61条)。〔⇒マンションの管理の適正化の推進に関する法律。 |
期間付死亡時終了建物賃貸借 キカンツキシボウジシュウリョウタテモノチンタイシャク |
定期借家契約と終身建物賃貸借契約を組み合せ、いずれか早く到来した方を期限とする賃貸借契約で、高齢者居住法61条で定められた制度のこと。賃借人になろうとする高齢者から特に中出があった場合には、賃借人の終身に限定せずに、一定の賃貸借期間を定めて、その期間が満了するか、あるいは賃借人が死亡すれぱ、終了することとなる賃貸借契約。終身建物賃貸借の認可を受けた賃貸住宅の貸借人になろうとする者は、その賃貸人(認可事業者)に特に申出を行った場合に、借地借家法38条に規定する更新のない建物賃貸借(定期借家)であって、かつ、賃借人が死亡したとに終了するものとする契約を締結することができる。契約は公正証書等書面によることを要する。なお、賃借人が死亡した場合、当該認可住宅に同居していた配偶者等が一定の中出を行ったときは、従前と同一条件の期間付死亡時終了建物賃貸借契約を締結することができる。ただし、一定の期間内に、従前の期間付死亡時終了建物賃貸借において定められた期間が満了したとき等は、賃貸借契約は終了する(高齢者居住法65条)。終身建物賃貸借を媒介・代理する宅建業者は、対象物件に係る契約が期間付死亡時終了建物賃貸借契約である旨を、重要事項説明において説明しなけれぱならない(宅建業法施行規則16条の4の2)。 |
期間満了後の更新 キカンマンリョウゴノコウシン |
借地及び借家契約期間が満了した後、従前通り契約を延長することをいう。賃貸人と賃借人との間で、合意により更新が行われるのが通例である。民法上の賃貸借契約については、賃借人が期間満了後に賃借物の使用・収益を継続し、賃貸人がそれを知りながら異議を述べないときは、前の契約と同一条件で、更に賃貸借をしたものと推定される(民法619条)。この後は期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人、賃借人ともいつでも解約申入れをすることができる。借地における賃貸借では、借地借家法により借地人が保護されている。借地契約では、期間満了する場合、借地人が更新を請求するか、期間満了後土地又は建物の使用を継続すると、建物がある限り更新したものとみなされ、賃貸人は、自ら使用するなどの正当事由がなければ更新を拒絶できないものとし(更新拒絶等の正当事由)、更新拒絶ができる場合でも借地権者には建物買取請求権があたえられる(借地借家法5条、同法13条1項)。定期借地としては、更新のない定期借地権、事業用借地権や、あらかじめ期間満了時に建物を借地権設定者に譲渡する建物譲渡特約付借地権がある。建物賃貸借契約では、期間満了の1年から6カ月前までの間に、相手方に対して更新しない旨の通知をしなかったときは、従前と同一条件で契約更新したものとみなされる(同法26条1項)。定期借家としては、更新のない定期建物賃貸借がある。 |
期限付き建物賃貸借 キゲンツキタテモノチンタイシャク |
平成4年改正の借地借家法で創設された制度であったが、平成11年改正(平成12年3月l日施行)後の借地借家法38条で、定期建物賃貸借という範疇に包含された。転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難な場合等を想定した制度であったため、サラリーマン等が転勤等で一時的に持家を貸す場合に利用された。 |
危険負担 キケンフタン |
建物の売買契約などの双務契約において、相互の債務が履行される前に一方の債務がその債務者の責めに帰することのできない事由により履行不能となって消滅した場合に、他方の債務が消滅するかの問題。例えぱ、契約後隣家の失火の類焼などによって建物が焼け、売主の引渡義務が履行できないようなとき、損害(危険)を当事者のいずれが負担するかの問題をいう。建物の引渡義務を負う売主(債務者)が代金を請求し得ないとするのが債務者主義、買主(債権者)は代金を支払わねぱならぬとするのが債権者主義という。民法の規定によれぱ、不動産のような特定物(不特定物については特定を生じた後)に関する物権の設定又は所有権の移転をもって双務(売買等)契約の目的としている場合は、債権者主義を採っているが(民法534条)、その他の場合は債務者主義を採っている(同法536条)。なお、実際の不動産取引の場合は、民法の規定とは逆に、特約をもって債務者主義を採っているのが一般である。 |
既存宅地の制度 キゾンタクチノセイド |
市街化調整区域であっても市街化区域と一体的な日常生活圏を構成する一定規模以上の集落内にあり、市街化調整区域とされた時点で既に宅地になっていた土地として開発許可権者の確認(既存宅地の確認)を受けたものにおいて行う建築物の建築等について、都計法第43条に基づく許可を不要とするもの。しかし、当該制度は平成12年の都計法の改正(平成13年5月18日施行)により廃止され既存宅地において行う建築行為も都計法第43条の許可を要することとなったが、施行日前に既存宅地の確認を受けた土地又は施行の際に現に確認の申請がなされている土地においては、5年間に限り従来通り許可不要で建築することが可能である。 |
既存不適格建物 キゾンフテキカクタテモノ |
建基法の規定の施行又は改正の際すでに建っている建築物又は工事中の建築物で、当該規定に全面的に又は一部が適合していないものをいう。既存不適格建築物についでは、その適合していない規定に限り適用が除外され(同法3条2項)、そのままその存在を認められるが、一定の範囲を超える増改築等を行う場合には、同法の規定に適合するように既存の部分の手直しを行わなければならない(同法3条3項、同法86条の‐7)。 |
さ行
債権・債務 サイケン・サイム |
甲が乙に対して、金銭の支払、物の引渡し、一定の積極的行為(作為)又は消極的行為(不作為)を求めることのできる法律上の地位を債権といい、乙が甲に対して負うこれらの義務を債務という。債権は物権に対する概念である。物権は物に対する支配的絶対的な権利であるが、債権は人に対する権利であるから、同じ債務者乙に対して甲からのあるいは甲丙両名からの同一種類の数個の債権が成立しうる。ただし債権についでも第三者からの侵害に対し不法行為の成立が認められ、譲渡性もある(民法466条本文)。債権は債務者がこれを履行しないと損害賠償債権に転化し、また裁判に基づく執行により強制されることもある。 |
債権譲渡 サイケンジョウト |
債権者甲が債務者乙に対する債権を第三者丙に護り渡すことをいう(民法466条)。債権は、その性質上譲渡を許さないもの、譲渡禁止の特約のあるものを除いて、自由に譲渡できる(同法466条)。譲渡は甲丙間でできるが、乙に対してこれを主張するには、甲から乙に通知するか乙の承諾を得ておかなければならない(同法467条1項)。また債権が丁にも譲渡されたような場合には、丙丁間では、確定日付のある甲の通知書又は乙の承諾書を持っていなければ、相手方に譲受けを主張できない(同法467条2項)。なお甲の通知の合には、乙はそれまでに例えば甲に済したことを丙にも主張できる(同468条2項)が、無条件に乙が譲渡を諾したときはその主張はできない(同法468条1項)。 |
催告 サイコク |
債務者に債務の履行を求めたり、制限能力者や無権代理人の行為を追認するかどうか確答を求めたりすることをいう。債務者に対し催告をした後、6カ月以内に裁判上の請求、差押え、仮差押え等の手続をすると時効中断の事由となり(民法153条)、期限の定めのない債務については履行遅滞の効果を生じ(同法412条3項)、債務不履行による契約解除権を発生させる(同法541条)。また、制限能力者が能力者となった後その相手方がこれに催告し、一定の期間経過後確答がなけれぱ、その行為を追認したものとみなされ(同法19条1項)、無権代理人と法律行為をした相手方が本人に催告し、一定の期間経後確答がなけれぱ、その行為の追認を拒絶したものとみなされる(同法114条)。催告は、口頭でしてもよいが、配達証明付内容証明郵便ですると、証拠を残すことができる。 |
催告の抗弁権 サイコクノコウベンケン |
保証人丙が債権者甲から請求を受けたのに対して、まず主たる債務者乙に催告するよう主張できる権利をいう(民法452条)。丙の債務は、乙が履行しない場合の補充的なものであるから、検索の抗弁権と並んで催告の抗弁権が与えられる。甲は催告の抗弁に対して乙への催告を証明すれぱ、再び丙に対する請求ができる。催告の抗弁にかかわらず甲が乙への催告をしないで、乙から全部の弁済を受けられないようになった場合には、直ちに催告すれぱ乙から弁済を得られたであろう額について、丙は免責される(同法455条)。催告の抗弁権は、乙が破産したとき、行方不明となったとき(同法452条ただし書)、または連帯保証のとき(同法454条)には、認められない。 |
先き物 サキモノ |
業者から流される物件情報で、その業者が売主から直接依頼を受けた物件(直物件)ではなく、別に依頼を受けた業者が存在する物件という意味である。物件情報伝達の流れからみると、物件情報紹介業者の先に他の業者が存在しているというところから、このようにいわれ、媒介報酬の業者間の配分において重要な情報であり、これを明示しないと報酬配分でトラブルになりやすい。 |
サブリース | 元来は、賃借人が更に第三者に賃貸(転貸)すること。不動産取引の場合、特に賃貸住宅にいて、空き家リスクや管理面のわずらわしさを避けるため、賃貸住宅のオーナーから管理会社等が一括して借り上げ、賃貸経営を行う方式を指す。管理会社等がオーナーに対して賃料収入を保証する方式もあるが、一括借上げ期間と転貸借期間とのミスマッチや賃料の下落から、トラブルも発生している。 |
更地 サラチ |
宅地の有形的利用及ぴ権利関係の態様の一つであり、都計法等の公法上の規制は受けるが、当該宅地に建物等の定着物がなく、かつ、借地権等の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。 |
市街化区域・市街化調整区域 シガイカクイキ・シガイカチョウセイクイキ |
すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を市街化区域、市街化を抑制すべき区域を市街化調整区域という(都計法7条2項及び3項)。都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域及び市街化調整区域の区分(区域区分)を定めることができる(ただし、首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯、近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域、中部圏開発整備法に規定する都市整備区域の全部又は一部を含打都市計画区域及び大都市に係る都市計画区域として政令で定める区域についでは、区域区分を定めるものとする)としている(同法7条1項)。 |
敷金 シキキン |
主として建物の賃借人が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため賃貸人に交付する金銭をいう(民法316条、同法619条2項参照)。このほか権利金、保証金等も授受されることがあり、その性格及び内容は当事者の合意によることになるが、敷金は契約が終了して、建物等を明け渡した後に、未払賃料等があれぱこれを控除したうえで返還される点に特徴がある。賃借人は契約継続中に、敷金によって不払賃料に充当させることばできない。敷金返還請求権は建物等を明け渡したときに発生するから、貸借人の建物等の明渡しと同時履行の関係にない。また敷金には利息を付さないのが普通であり、建物等の所有権(賃貸人の地位)が移転したときは、新所有者に引き継がれる。 |
敷地 シキチ |
一般的には、建築物の占める土地を指す。広い意味では、街区・画地などを総称したり、道路・河川などの占める土地を指す場合もある。建築関係法規では、一つの建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう(建基法施行令1条1号)。一団の土地かどうかは登記簿上の筆致や地目、所有関係等とは直接関係なく、不連続でない意味とされており、道路や河川などをはさんでいる敷地や、間に無関係な敷地を隔てて存在するような敷地は、別敷地とみなされる。 |
敷地権 シキチケン |
土地の登記簿に登記された所有権・地上権又は賃借権で、建物又は付属建物と分離して処分することができない敷地利用権(区分所有建物の専有部分を所有するための建物の敷地を利用する権利)のこと(不動産登記法91条2項)。敷地権の登記がされると、以降は専有部分について行われた権利に関する登記は、敷地権についでも同一の登記原因による相当の登記としての効力を有する(同法110条の15)。敷地権の表示の登記は、一棟の建物の表題部の「敷地権の目的たる土地の表示」欄に所在・地目・地籍等、専有部分の表題部の「敷地権の表示」欄に敷地権の種類・敷地権の割合等が、敷地権の目的たる土地の一筆ごとに記載される。敷地権の登記がされると登記官の職権により、敷地権の目的たる土地の相当区(所有権敷地権の場合は甲区、地上権又は賃借権の場合は乙区)欄に敷地権たる旨の登記がされる。 |
敷引 シキビ |
主として関西地区の居住用建物の賃貸借において行われている慣行。賃貸住宅入居の際、敷金あるいは保証金の名称で借主から貸主に対し支払われる預り金を、退去時に借主の債務の有無に係わちず、一定割合を差し引いて返還することをいう。この預り金は借主の入居期間中の債務の担保としての性格がある。敷引と同意語で償却が使われる場合も多い。 |
事業用借地権 ジギョウヨウシャクチケン |
平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された定期借地権制度の一形態(借地借家法24条)で、更新のない借地権である。この借地権は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的として、存続期間を10年以上20年以下と定めるもので、存続期間の満了により借地契約が終了する。この借地権を設定する場合には、(1)専ら事業用の建物(住宅を除く)の所有を目的とする旨、(2)存続期間が10年以上20年以下である旨の約定が必要である。この制度を利用するに当たっては、特約を含め契約を公正証書によって行うことが法律上要求されている。主な利用目的として、郊外のロードサイドの量販店、外食店舗や工場地等が考えられる。 |
指定流通機構 シテイリュウツウキコウ |
平成2年に宅建業者間で広く、かつ、迅速に物件情報を交換し、契約の相手方を探索する仕組として、指定流通機構制度が発足し、全国で37の流通機構が建設大臣(現・国土交通大臣)により指定された。指定流通機構制度の不動産取引への活用を図るため、専属専任媒介物件は宅建業法により、専任媒介物件は標準媒介契約約款により、指定流通機構ヘの物件登録が義務づけられた。その後、より広範かつ多数の物件情報を取引関係者が共有することにより、取引の一層拡大と、不動産取引市場の透明化を図る必要が生じたため、平成7年の業法改正で専任媒介物件についでも登録を義務づけるとともに、指定流通機構の法的位置づけを明確にすることとなった。これにより、平成9年4月から全国4組織(東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構)の流通機構が建設大臣(現・国土交通大臣)の許可・指定を受け、法人格を有する組織として発足した。 |
私道 シドウ |
一般には私人の土地のみをもって、当該道路に面している土地の利用を目的に築造した道路をいう。土地の寄附又は提供を条件に村道等を築造する場合もあるので、道路法上の道路・公道と明確に区分されてるわけではない・私道には‐、特定の私人により専用的に使用されているものから一般に開放されているものなどその使用形態は種々ある。私道の維持・管理は原則としてその土地の所有者の自由にまかされているが、建基法上の道路とみなされているものについでは、その変更・廃止が制限される(建基法45条)。 |
私道負担 シドウフタン |
不動産取引において、売買等の対象となる土地の一部に私道の敷地が含ま れている場合に、この私道敷地部分を私道負担という。私道には建基法42条の道路となる私道以外にも、通行地役権の目的となっているようなものを含む。また私道について所有権や共有持分を持たずに、利用するための負担金を支払うことになっている場合や将来生じることになっている私道負担も私道に関する負担に含まれる。宅建業法35条に規定する重要事項の説明では、宅建業者に対して、取引の際には前もって「私道に関する負担に関する事項」を説明することが義務づけられている。これは、私道負担のあることを知らないで取引をした購入者に対して、損害を与えないよう、あらかじめ私道の負担の内容を説明する義務を課したものである。 |
支払金・預り金の保全 シハライキン・アズカリキンノホゼン |
宅建業者が受領しようとする支払金又は預り金については、宅地建物取引業保証協会が一般保証業務として行う保証措置(連帯保証)、銀行等が一般保証委託契約に基づいて行う保全措置、及び保険事業者が保証保険契約に基づいて行う保全措置及び指定保管機関が一般寄託契約等に基づいて行う保全措置が設けられており、その概要は宅建業法35条に規定する重要事項の説明の1項目となっている。宅建業法35条1項10号に規定する支払金・預り金とは、代金・交換差金・借賃・権利金・敷金その他名義のいかんを問わず取引の対象となる宅地又は建物に関して受領する金銭である。ただし、受領額が50万円未満のもの、宅建業法41条又は41条の2の規定により保全措置が講じられてぃる手付金等、売主又は交換の当事者である宅建業者が登記以後に受領するもの、及ぴ報酬は除く。 |
借地権 シャクチケンシャクチケンノジョウト・シャクチノテンタイ |
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう(借地借家法2条1号)。借地権者は地代支払等の義務を負うが、借地借家法は土地賃借権の登記(民法605条、不動産登記法1条)、又は地上権の登記がなくても地上建物に登記があれぱ、借地権の対抗カを認め、その存続期間を定め(借地借家法3条)、契約の更新を広く認め(同法5~7条)、さらに借地権の譲渡や借地転貸の場合の借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可(同法19条)や借地権者の建物買取請求権(同法13条)等の制度を設け借地権を強化した。借地権は、一つの財産権としての評価を受け、借地契約にあたっては、その割合の権利金が授受されることがある。 |
借地権の譲渡・借地の転貸 シャクチケンノジョウト・シャクチノテンタイ |
借地権の譲渡とは、旧借地権者(譲渡人)の地位がそのまま譲受人に移つて、譲受人が借地権者になり、旧借地権者は借地関係から離脱することをいう。借地の転貸とは、借地権者の地位は変動せず、借地権者が自己の借地権の範囲内で、第三者(転借地権者)のためにさらに借地権を設定することをいう。借地権が建物所有を目的とする土地の賃借権の場合は、これらのためには、借地権設定者の承諾を要する(民法612条、地上権の場合は不要)。この承諾についでは、借地権者から借地権設定者に対して、名義書換料等と称して借地権価額の5~15%程度の金銭が支払われることが多い。しかし、借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の中立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる(借地借家法19条1項)。借地権付建物譲渡の取引では、建物譲渡に伴い借地権が譲渡される。 |
借地権の存続期間 シャクチケンノソンゾクキカン |
借地権が有効に存続する期間をいう。民法上賃貸借の期間は、最長20年間と定められている(民法604条)が、借地借家法は、借地権の存続期間は30年とし(借地借家法3条)借地契約を更新する場合には、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては20年)とする(同法4条)。ただし、いずれの場合にも、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間となる。定期借地権等の特殊な借地契約の存続期間は、一般定期借地権は50年以上(同法22条)、建物譲渡特約付借地権は30年以上(同法23条)事業用借地権は10年以上20年以下(同法24条)としなくてはならず、一時使用目的の借地権は、当事者が使用目的に従った期.間を定める(同法25条)。借地借家法の施行(平成4年8月1日)前に設定された借地契約を更新する場合の存続期間は、なお従前の借地法の例による(同法附則6条)。 |
借地権の対抗力 シャクチケンノタイコウリョク |
借地権者が量的物(土地所有権)の譲受人や借地権設定者から二重に借地権の設定を受けた者に対し、自己の借地権を主張できることをいう。民法上、地上権も(不動産)賃借権も登記が対抗要件とされているが、地上権と異なり、賃借権では賃貸人に登記に協力する義務はないと解され、実際に登記ぎれる例もあまりない。そこで、借地借家法は、借地権者を保護するため、借地権者が借地土の建物についで登記をしたときは、土地についでの賃借権又は地上権の登記がなくとも借地権を対抗できるものとした(借地借家法10条)。建物についでの登記は、所有権保存登記ぱかりでなく、表示脊記のなされている場合であってもよいが、父が子の名義の登記をしたような家族名義で登記されている場合には、対抗力がないとされる(最判昭41.4.27)。 |
借地借家法 シャクチシャッカホウ |
借地法、建物保護ニ関スル法律、借家法を廃止し、平成4年8月1日に施行きれた法律。従前の法律に対して、借地、借家の関係を活性化するために、新しいタイプの借地権(定期借地権、事業用借地権、建物譲渡特約付借地権)を作り、存続期間についても、それまでの建物の堅固、非堅固による区別を、一律30年とし、最初の更新を20年、次回更新から10年とした。また、借家契約においては、期限付建物賃貸借が改正され、定期建物賃貸借の制度が導入された(平成12年3月1日施行)。 |
借家契約解除の正当事由 シャクヤケイヤクカイジョノセイトウジユウ |
期間の定めのない借家契約において、賃貸人が解約申入れをするについで必要とされる事情をいう(借地借家法28条)。期間の定めのない賃貸借契約において、民法上は各当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、建物の賃貸借は3カ月後に契約終了する(民法617条)。しかし、借地借家法では、建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした日から6カ月後に契約終了する(借地借家法27条)が、その場合正当な事由があると認められなけれぱならない(同法28条)。正当事由とは、社会通念上妥当と認められる事由のことであるが、具体的には、賃貸人及び賃借人が建物を必要とする事情のほか、建物の賃貸借の従前からの経過や利用状況等によって判断され、立退料の提案も考慮されるとしている。しかし、借主の建物を必要とする事情も大きく考慮され、そのバランスを勘案して総合的に判断される。 |
借家契約の更新 シャクヤケイヤクノコウシン |
期間の定めのある借家契約において、期間が満了した後、前契約と同一条件で契約が継続されることをいう。更新は、当事者の合意によってできるほか、民法は、賃借人が期間満了後も使用を継続しているのに賃貸人が異議を述べないと契約は更新されるが、期間の定めのない契約となり、賃貸人はいつでも解約の申入れをすることができるとしている(民法619条)。ところが、借地借家法は、賃貸人に自己使用その他の正当事由があり、かつ、期間満了前6カ月ないし1年以内に更新拒絶の通知をしないときには、従前の契約と同一の条件で更新(法定更新)されたものとみなすと定めている(借地借家法26条)。なお、合意による更新の場合、更新料が支払われることがあるが、その支払の約束のない限り、賃貸人の更新料請求権はない。 |
借家権 シャクヤケン |
建物、特に借地借家法の適用を受ける建物の賃借権をいう。賃借人は、家賃支払の義務を負うが、借地借家法は、建物賃借人がその引渡しを受けていれば、建物の譲受人等に賃借権を主張しうるものとし(借家権の対抗力)、賃貸人からの解約の申入れや期間満了後の更新拒絶には正当の事由を必要とし(借家契約解約の正当事由、借家契約の更新)、さらに契約終了の場合には借家人からの造作買取請求権を認める(借地借家法13条)等、借家人に強い保護を与えたので、これを借家権と呼んでいる。なお借家権は相続の対象となるが、相続人がなく内縁の妻などが借家人と同居していたようなときは、その同居人が借家権を承継する(同法36条)。 |
重説 ジュウセツ |
重要事項説明又は重要事項説明書の略。〔重要事項の説明義務〕 |
住宅性能保証制度 ジュウタクセイノウホショウセイド |
(財)住宅保証機構が運営する新築住宅の瑕疵に関する保証制度。保証期間内に瑕疵が発生したときは、保証書を発行した登録業者が無償で補修を行う。働住宅保証機構は、設計施工基準の制定、現場検査の実施、補修費用の保険金によるカバー等により保証期間内の保証の実効性を高めている。なお、保証書を発行した登録業者が倒産した場合は、保険により一定の保証が行われる。保証期間は、住宅品質確保法に対応しているが、仕上げの剥離、建具の変形等特定の不具合に対しても独自の短期保証がある。昭和55年度に一戸建住宅を対象に実施された後、平成5年度から一定の新築分譲マンション、平成9年度から一定の共同住宅、平成14年度から一定の増改築工事についても適用対象として制度拡充された。 |
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法) ジュウタクノヒンシツカクホノソクシントウニカンスルホウリツ |
住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕庇担保責任についで特別の定めをすることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図ることを目的として平成12年4月1日から施行された法律。本法では、住宅の建設工事の請負人は、請負契約書に住宅性能評価書やその写しを添付し又は注文者に交付した場合は、その住宅性能評価書等に表示された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約したとみなされる(6条1項)、また、新築住宅の売主は、売買契約書に住宅性能評価書やその写しを添付し又は買主に交付した場合は、その住宅性能評価書等に表示された性能を有する新築住宅を引き渡すことを契約したとみなされる(6条2項)等の定めがある。住宅性能評価は、住宅の請負工事発注者や新築住宅の供給者の申請により任意に行われるもので、全ての住宅に義務付けられたものではない。宅建業法には、建物の売買又は交換の契約にあっては、建物が住宅品質確保法に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときはその旨を重要事項説明書の記載事項とする規定がある(宅建業法施行規則16条の4 の2)。 |
重要事項の説明義務 ジュウヨウジコウノセツメイギム |
宅建業者は、宅地・建物の売買(割賦販売を含む)・交換・賃貸等の相手方、代理を依頼した者、媒介に係る売買・交換・賃貸等の各当事者(以下「相手方等」という)に対して、その者が取得し又は借りようとしている宅地・建物に関し、契約が成立するまでの間に、取引しようとする物件や取引条件等に関する一定の重要な事項についで、これらの事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して、取引主任者から説明をさせなければならない(宅建業法35条1項及び2項)。なお、取引主任者は、説明をするときは、相手方等に対して、宅地建物取引主任者証を提示しなければならないこと(同法35条3項)、書面(重要事項説明書)の交付に当たっては、取引主任者は、当該書面に記名押印をしなけれぱならないとされている(同法35条4項)。 |
重要事項の不告知・不実告知の禁止 ジュウヨウジコウノフコクチ・フジツコクチノキンシ |
宅建業者は、その業務に関して、宅建業者の相手方等に対し、重要な事項についで故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない(宅建業法47条1号)。重要な事項というのは、取引の相手方等にとって、その意思を左右するような重大な利害関係のある事項のことである。例えば、取引の対象となっている土地や建物に、第三者の権利が設定されている場合、宅建業者がこれを故意に告げなかったり、あるいは虚偽の事実を告げたりすることを禁止したものである。 |
守秘義務 シュヒギム |
宅建業者及びその使用人その他の従業者は、正当な理由がなけれぱ、その業務上取り扱ったことについで知り得た秘密を他に漏らしてはならず、宅地建物取引業を営まなくなつた後、又はその使用人等でなくなった後でも同様とされている(宅建業法45条、同法75条の2)。宅建業者等は、宅地又は建物といった依頼者の重要な財産について、相談を受けたり取引に関与したりして他人の秘密を知る機会が多いので、業務上知り得た他人の秘密を守ることをとくに強く義務づけられている。「正当な理由」が認められる場合として、例えぱ、裁判の際、又は税務署の職員から法令に基づき証言を求められた場合等が挙げられる。 |
使用貸借 シヨウタイシャク |
借主が貸主から目的物を無償で借りて使用収益し、後にその目的物を貸主に返還する契約をいう(民法593条以下)。借主は契約に返還時期の定めがあるときはその時期に、その定めがないときは契約に定めた目的に従い使用収益を終えたとき等に、目的物を返還しなけれぱならない。使用収益の対価を支払わない(無償)という点において賃貸借と異なる。使用貸借には、その目的物が住宅やその敷地であっても、借地借家法は適用されない。親族や雇用等特殊な人的関係のある者の間で約束されるが、そういう人的関係の崩壊したときに法的紛争を生ずることが少なくない。 |
承諾料(名義書換料) ショウダクリョウ |
土地建物の賃借権の譲渡又は貸借土地建物の転貸の承諾の対価として、賃借人から賃貸人に支払われる金銭のことをぃう。名義書換料といわれることもある。これら譲渡転貸についでは賃貸人の承諾が必要であり(民法612条1項)、これに違反すると契約を解除され.ることになる(司法612条2項)。そこで賃借人がこれら譲渡・転貸によって自己の投下資本を回収するためには、賃貸人の承諾が必要となり、これを得るため、特に土地の賃貸借で、賃借権設定の対価として権利金を支払っていなぃ場合、承諾料又は名義書換料が授受される。借地借家法(平成4年7月31日までの契約の場合は、旧借地法)は、土地の賃貸人がこの承諾を与えないとき、裁判所は、財産土の給付を条件として、これに代わる許可を与えることができるとしている(借地借家法19条、旧借地法9条の2)。 |
消費者契約法 ショウヒシャケイヤクホウ |
消費者と事業者との間の情報の質・量・交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認・困惑した場合の契約の申込み等の取消し等を定め、消費者の利益の擁護を図ること.を目的として平成13年4月1日より施行された法律。消費者と事業者との間で締結される契約についで適用され、当事者双方が事業者である契約と当事者双方が消費者である契約は対象とならない。本法では、事業者が契約の締結の勧誘に際して、重要事項について事実と異なることを告げ又は将来における変動が不確実な事項の断定的判断を提供し、消費者がその内容が事実であると誤認した場合は申込みや承諾の取消しを可能とし(4条)、事業者が損害賠償の責任を全く負わないとする等、消費者の利益を不当に害する契約条項の無効(8条)、等を定めている。消費者契約法と民法・商法が競合する場合は消費者契約法が優先し適用される。また、消費者契約法と宅建業法が競合する場合は、宅建業法が優先される(11条2項)。例えぱ、瑕庇担保責任の免責特約は、消費者契約法では免責特約が有効な場合を限定し、全部免責条項を無効としているが、宅建業法では、売主が業者の場合は、目的物の引渡し後2年以上となる特約を除き、買主の不利となる一切の特約を無効(宅建業法40条2項)としており、宅建業法が優先して適用される。 |
セットバック | 本来は、日照の確保等のため、建物の上階を下階よりも後退させて建築することであるが、一般的には建基法の制限による次のような場合をセットバックという。敷地前面道路の幅員が4m未満の道で特定行政庁が指定したもの(いわゆる2項道路)の場合、その中心線から2m(ただし、道路の反対側ががけ又は川などの場合は道路の境界線から水平に4m)以上後退した線が道路の境界線とみなされ、敷地の一部を道路部分(セットバック部分)としてみなされる(建基法42条2項)。壁面線が指定されている場合、建築物の壁又はこれに代わる柱、2m超の門・へいは原則として壁面線を越えて建築できない(同法47条)。第-種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内において、都市計画において外壁の後退距離が定められた場合は、建築物の壁又はこれに代わる柱から敷地境界線までの距離は、定められた限度(1.5m又は1m)以上でなければならない(同法54条1項・2項) |
専属専任媒介契約 センゾクセンニンバイカイケイヤク |
媒介契約の一類型で、専任媒介契約に自己発見取引の禁止の特約(依頼者は、媒介を依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と、売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約)を付した契約である。媒介契約を締結した業者は、(1)書面の交付義務、(2)価額等についで意見を述べる際の根拠明示義務が課されているが、さらに専属専任媒介契約を締結した業者は、(3)媒介契約の有効期間を3カ月以内とすること、(4)依頼者の申し出がないと期間の更新ができないこと等のほか、(5)1週間に1回以上業務の処理状況についで報告すること、(6)媒介契約の締結日から5日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録することなどが義務づけられている。〔⇒一般媒介契約、⇒専任媒介契約〕任者であるときは、その役員は、自ら主として業務に従事する事務所についでは、専任の取引主任者とみなされる(同法15条2項)。 |
専任媒介契約 センニンバイカイケイヤク |
依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するもので、媒介契約の一形式。専任媒介契約が締結されると、依頼者は他の業者への依頼が禁止されるが、宅建業者は他の業者から依頼者を横取りされることがないため、取引の相手方を積極的に見付ける努力が期待でき、依頼者としても成約までの期間が短縮できるなどのメリットがある。宅建業法では(1)依頼者の利益が損なわれることのないよう、専任媒介契約の期間は3カ月を超えることができないこと、依頼者の申し出によりこれを更新するときも更新のときから3カ月を超えないこと、(2)宅建業者は2週間に1回以上依頼者に業務の処理状況を報告すること、(3)媒介契約締結の日から7日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録することなどを義務づけている(宅建業法34条の2)。 |
線引き センビキ |
都市計画地域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に市街化区域(すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域)と市街化調整区域(市街化を抑制すべ.き区域)との区分(区域区分)を定めることができるとしている(都計法7条1項)。この区域区分することを通常線引きと呼び、区域区分が定められていない都市計画区域を非線引都市計画区域という。市街化区域については少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域についでは原則として用途地域を定めないものとされている(同法王3条1項7号)。なお、首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯、近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域及び中部圏開発整備法に規定する都市整備区域の全部又は一部を含む都市計画区域、並びに、大都市に係る都市計画区域として政令で定めるものについでは、必ず区域区分を定めるものとされている(同法7条1項)。 |
占有権 センユウケン |
自己のためにする意思で、物を所持するという事実状態(占有)が権利として認められることをいう(民法180条)。このような事実状態が権利として認められるのは、社会の現状を一応正しいものとして、これを保護し秩序を維持しようとするためである。したがって民法は、占有者は所有の意思をもって善意・平穏かつ公然に占有するもの(同法l86条)、並びに占有者が占有物の上に行使する権利はこれを適法に有するものと推定している(同法188条)。そして占有権者は、自己の占有が侵害されようとするときには、占有の訴によって救済を受けられる(同法197条以下)。占有権は所有権などの本権とは別個のものであるから、この訴は本権の訴とは別の扱いを受ける(同法202条)。 |
専有部分 センユウブブン |
一棟の建物のうち、構造土区分され独立して住居等の用途に供することができる部分で、区分所有権の目的となるものをいう(区分所有法1条、同法2条3項)。専有部分以外の部分は廊下、階段等の共用部分である。専有部分は、まず構造上の独立性を必要とし、仕切壁、天井、床等によって他の部分と遮断されていなければならない。次に、独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他摯物としての用途に供するという利用上の独立性も必要とされている。なお、共用部分であっても、バルコニーのように特定の区分所有者の専用使用権が認められることがあるが、このためには規約又は管理組合での決定が必要である。 |
専用面積 センヨウメンセキ |
専有面積とは、分譲マンション等の区分所有建物の専有部分(区分所有権の目的となる建物の部分)の面積をいうが、この専有面積に共用部分のうち特定の部分を特定の区分所有者に専用的に使用させる部分(バルコニー・扉付きのポーチ状になった廊下の一部等の専用使用部分)の面積を加えた面積のことを専用面積ということがある。しかし、不動産の表示に関する公正競争規約では区分所有建物の場合は専有面積を表示することとされており、これに車庫、地下室等の面積を含むときは、その旨及びその面積を表示することとなっている。なお、専有面積の算出法には壁芯計算と、登記簿に記載される内法計算の2つがあるが、区分所有建物の床面積は、規約で別段の定めをしない限り、「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平影面積による」(区分所有法14条3項)として、内法計算によることとしている。 |
専用使用権 センヨウシヨウケン |
各住戸に接するバルコニーのような共用部分でありながら、特定の人だけが使用できる権利を専用使用権といぅ。専用使用権の設定は、原則として区分所有者全員の合意が必要であり、通常は、管理規約等で規定されている共用部分の管理については、管理組合が責任を負うのが原則であるが、専用使用権が及ぶ部分についでは、その専用使用者が管理についでの責任を負う旨規定されることが多い。なお、宅建業者はこの専用使用権に関する規約がある場合に、これを説明する必要がある(宅建業法35条1項の5号、同法施行規則16条の2第3号) |
造作買取請求権 ゾウサクカイトリセイキュウケン |
借家人が、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作を、賃貸借終了の際、賃貸人に買い取るように請求できる権利をいう(借地借家法33条、旧借家法5条)。「造作」とは、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的に便益を与えるものをいう。大型の埋込み式空調設備や雨戸のように、いったん取り付けると、取り外す際に相当価値が下がるものがその例である。旧借家法では、賃貸人が取付けに同意した造作にっいては、借家契約終了時に賃貸人が買い取らなければならない(強行規定)とされていたが、現行の借地借家法(新法)では、特約により賃貸人は取付けに同意しても買い取らなくてよいとすること(任意規定)に改正された。この改正については、新法の施行前に成立した借家関係にも適用され、新法施行後において賃貸人が買取りをしない旨の特約をすることができる。借家人は、この権利行使により時価相当額を請求できるが、判例では、その支払がなくとも建物明渡しを拒めないとされている。なお、賃借人の債務不履行による契約解除のときには、造作買取請求権は行使できないとされている。 |
損害賠償 ソンガイバイショウ |
契約違反(債務不履行)や不法行為を原因として発生した損害を填補することをいう(民法415条、同法709条)。金銭で賠償するのを原則とする(同法417条、同法722条l項)が、名誉毀損では謝罪広告を求めることもできる(同法723条)。賠償されるのは財産上の損害が通例であるが、生命、身体、自由等の侵害にあっては精神的損害(慰謝料)も請求できる(同法710条、同法711条)。賠償額は、原則としてその加害行為(債務不履行)によって通常生ずべき(相当因果関係のある)損害に限るが、特別の事情による損害も当事者が予見し、又は予見可能であった七きは賠償の対象となる(同法4l6条)。損害賠償請求権は、不法行為では加害者及び損害を知ったときから3年、債務不履行では権利発生から10年で時効消滅する。 |
損害賠償の予定等の制限 ソンガイバイショウノヨテイトウノセイゲン |
損害賠償額の予定(債務者の債務不履行の際、債権者は実際に生じた損害を立証することなく、あらかじめ予定した額を請求できるとの定め)は、一般私法上は自由にできるが、宅建業者が自ら売主として、売買契約を締結するときは、損害賠償額の予定と違約金(違約罰)の合計額に限度(代金の10分の2以下)を設け、これに反する特約は、限度を超える部分について無効とされている(宅建業法38条)。これを自由とすれば、予定額が極めて高額となって購入者の利益を害するおそれもあり、また一般的に実損害が代金の2割を超えるのはまれであると考えられ、このような場合が想定されるときは予定額を定めず、実損害を立証して請求する方法もあるためである。本条は宅建業者間取引には適用されない(同法78条)。 |
た行
代物弁済の予約 ダイブツベンサイノヨヤク |
債務者が履行期に弁済しないとき、債務の弁済に代えてその所有する土地建物等の所有権を債権者に移転する旨の予約をいう。履行期を徒過し債権者が予約を完結すると所有権は移転するが、土地の高騰のため履行期に債権額との間に著しいアンバランスを生ずるような状況が生じたので、判例はそれが担保のためになされることに着目し、その差額を清算すべきであるとするようになった。これを受けて、仮登記担保契約に関する法律(昭和53年制)が制定されたが、これによると、代物弁済の予約等で仮登記、仮登録のできるものについでは、予約の完結等があったときでも2カ月の清算期間を過ぎないと所有権は移転せず(仮登記担保契約に関する法律2条)、清算が終わらなけれぱなお5年間債務者の土地等の受戻しを認める(同法11条)。 |
宅地建物取引業 タクチタテモノトリヒキギョウ |
宅地建物取引業とは、宅地又は建物についで、売買又は交換、売買・交換又は賃貸の代理、売買・交換又は賃貸の媒介を、業として行うものをいう(宅建業法2条2号)。従って貸借を業として行う行為は該当しない。業として行うとは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指し、その判断は(1)取引の対象者、(2)取引の目的、(3)取引対象物件の取得経緯、(4)取引の態様、(5)取引の反復継続性を参考に諸要因を勘案して総合的に行われる。 |
宅地建物取引主任者 タクチタテモノトリヒキシュニンシャ |
宅地建物取引主任者とは、宅地建物取引主任考証の交付を受けた者をいう(宅建業法15条1項)。宅地建物取引主任者になろうとする者は、都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験(同法16条)に合格し、都道府県知事の登録を受け(同法18条)、さらに宅地建物取引主任考証(同法22条の2)の交付を受けなけれぱならない。なお、昭和63年の宅建業法改正により、登録は、宅地若しくは建物の取引に関し2年以上の実務経験を有する者、又は、国土交通大臣がその実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者でなけれぱ受けられないこととされた。宅地建物取引主任考証の有効期間は、5年である。有効期間の更新を受けようとする者は、都道府県知事が指定する講習を受講しなければならない。宅地建物取引主任者は、取引の当事者に対する重要事項の説明(同法35条)、重要事項説明書及ぴ同法37条の規定に基づく書面(契約書)の内容確認と記名押印の事務を行うことができるとされている。 |
建物買取請求権 タテモノカイトリセイキュウケン |
地主に対し、借地上の建物の買取りを求め得る権利をいう。(1)借地権が消滅し契約が更新されなかったとき(借地借家法13条、平成4年7月31日以前の契約についでは旧借地法4条2項)、(2)借地権者から借地上の建物を護り受けた者に対して地主が賃借権の譲渡、又は転貸を承諾しないとき(借地借家法14条、平成4年7月31日以前の契約についでは旧借地法10条)、賃借人から買取請求ができる。形成権であるから、その行使があれば、賃借人と地主との間で建物の売買契約が成立する。代金額は、取壊しを前提としたものでなく物としての時価である。借地権の価格は含まれないが、場所的利益は考慮誉れる。建物買取請求権者は、地主から代金の提供があるまでは、建物の明渡しを拒否できる。 |
短期賃貸借 タンキチンタイシャク |
植林を目的とする山林では10年、その他の土地では5年、建物では3年、動産では6カ月を超えない賃貸借をいう(民法602条)。被保佐人のように処分の能力のない者、又は権限の定めのない代理人(同法103条)のごとく処分権限のない者は、これらの期間を超えて賃貸借契約を締結することばできない(同法602条)。短期賃貸借は抵当権設定登記後のものでも、抵当権者、したがってその実行後の競落人にも対抗できる(同法395条)ため、目的物の価格の引下げや立退料の要求のために締結されることがある。民法は、短期賃貸借により、抵当権者に損害を及ぽすときは、裁判所がその解除を命ずることができる旨定めている(同法395条ただし書)。 |
地価公示 チカコウジ |
昭和44年7月施行の地価公示法に基づき、土地鑑定委員会は全国の都市計画区域における標準地について、昭和45年以降、毎年1月l日現在の単位面積当たりの正常な価格を公示している。この公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共用地の取得価格算定の規準とされ、また、国土法に基づく土地取引の規制における土地価格算定の規準とされる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的としている。 |
仲介 チュウカイ |
一般的には、当事者の間に入つて便宜を図ったり尽力することで、不動産取引では、他人間の契約行為の締結に尽力する媒介行為を「仲介」という。宅建業法等の法令では「媒介」という。なお、宅建業者が行う不動産広告では、取引態様の明示としてΓ媒介(仲介)」又は「仲介」とされる。宅建業者が行う不動産取引の仲介の法律的な性格は、商法でいう他人間の商行為の媒介である仲立営業(商事仲立ともいう。商法543条以下)の場合のほか、一般私人間の企業経済活動ではない不動産取引の媒介をする民事仲立の場合があるが、民事仲立については、法律に特別の規定がない。媒介契約は、依頼者からの依頼に基づき媒介という事実行為を目的とするので、準委任(民法656条)と解され、委任の規定(民法643条以下)を準用すべきものとされている。 |
賃借権 チンシャクケン |
賃貸借契約に基づく貸借人の権利をいう。賃貸借契約は双務契約であるので、賃借人は目的物の使用収益権を有する一方、賃料支払義務を負うのである(民法60l条)が、不動産賃借権にあっては、借地借家法によってその権利が強化されている。不動産賃借権は第三者に対抗することができ、判例上、妨害排除請求権も認められ、物権化している。しかし、賃借権は、契約に基づく債権で当事者間の信頼関係が重視される点から、賃貸人の承諾がないと、譲渡し、又は転貸できない(同法612条)点で物権と異なる。 |
賃貸借 チンタイシャク |
甲が乙に目的物を使用収益させ、乙が甲に賃料を支払う契約をいう(民法601条)。民法は、貸衣裳やレンタカーなどのような動産の賃貸借と土地建物のそれとの区別をほとんど考えないで規定したが、建物所有を目的とする土地の賃貸借では、長期の契約期間を必要とするので、借地借家法3条は存続期間を30年以上と定めた。また、民法上は、土地又は建物の賃借権は、それを登記しないと第三者に対抗することができないが、借地借家法10条1項は、借地上の建物の登記をすれば借地権を、同法31条1項は、建物の引渡しがあれば借地権を第三者に対抗することができるものとした。 |
定期借地権 テイキシャクチケン |
平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地関係が終了する。従前の借地法では、存続期間が満了しても借地権が消滅するわけではなく、正当事由が必要であった。その結果、借地権を設定することが躊躇され、設定する場合においては、高い権利金等の支払が生じていた。そこで、借地借家法は、借地法の大原則である「存続期間が満了しても借地権は当然には消滅しない」という仕組みに対して、一定の場合には例外を認める、つまり一定の範囲で、更新のない借地権を認めることとし、新たに以下の3つの類型の定期借地権を創設した。(1)存続期間を50年以上と定めることを要件とする「定期借地権」(一般定期借地権)(同法22条) (2)借地権を設定した日から30年以上を経過した日に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をするF建物譲渡特約付借地権」(同法23条) (3)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする「事業用借地権」(同法24条)この定期借地権制度が利用されることによって土地を貸しやすく借りやすくなり、借地の新規供給、利用の幅が広がることが期待されている。 |
定期建物賃貸借(定期借家) テイキタテモノチンタイシャク |
契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に賃貸借が終了する建物賃貸借をいう。平成12年3月1日から改正施行された借地借家法38条で創設された。定期借家と呼ばれ.ることも多い。建物の賃貸借を定期建物賃貸借とする場合は、公正証書等の書面による契約をすること及ぴ賃貸人は賃借人に対し契約書とは別の書面によりあらかじめ「更新がなく、期間の満了とともに契約が終了する」旨を説明することが要件となる。賃貸借期間が1年以上の定期建物賃貸借契約においては、期間満了の1年前から6カ月前までの間に賃貸人から貸借人に対し期間満了による賃貸借の終了を通知する必要がある(正当事由は不要)。契約の更新という概念は発生しないが、定期借家契約期間満了時に賃貸人と賃借人双方で合意すれぱ、改めて賃貸借の再契約をすることは可能である。 |
抵当権 テイトウケン |
債務者又は第三者(物上保証人)に用益させたままで、債務の担保として提供した不動産等について、優先弁済を受ける担保物権をいう(民法369条以下)。優先弁済は、通常、民事執行法に従い換価(任意競売)によるが、破産の場合は別除権(破産法92条以下)、会社更生では更生担保権(会社更生法123条等)によって行う。抵当権者は目的物の交換価値だけを確保し、設定者に使用収益権を留保することから、生産財について最も合理的な担保とされ不動産に限らず、特別法により、鉄道財団(鉄道抵当法)、工場財団(工場抵当法)、航空機(航空機抵当法)、船舶(商法84嵩条以下)、自動車(自動車抵当法)、建設機械(建設機械抵当法)等を対象とする抵当権もある。 |
手数料配分 テスウリョウハイブン |
媒介契約を締結した元付け業者が自己の媒介業務のために、貢献した他業者へ自己の収受する媒介報酬(仲介手数料)を分け与えることをいう。業音間の約定、共同仲介責任の有無、客付け(きゃくづけ)・物上げ(ぶつあげ)の態様、依頼者の支払う報酬額と意向等成約に至る経緯と、他業者の営業努力を評価勘案して業者間で協議の上配分方法と額を決定する。売・買の元付け業者がそれぞれの依頼者から収受する売却手数料と購入手数料の分かれと異なる。あんこ業者等の仲介協力者は元付け業者の裁量により配分に与(あずか)るか相当の謝礼を受ける。 |
手付 テツケ |
相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。手付には、契約の成立を証する証約手付、手付を交付した者はそれを放棄し、相手方はその倍額を償還して契約を解除することを認める解約手付、手付額を債務不履行の場合の損害賠償額の予定又は違約罰とする違約手付がある。どの「手付であるかは当事者の意思によって決められるが、いずれの場合にも、証約手付の意味がある。民法ほ、当事者の意思が不明のときは、解約手付と解することとしている(民法557条)。宅業者が売主として受け取る手付は解約手付である(宅建業法39条2項)。なお、契約の際内金と表示されても解約手付と解されることがある。手付金は、契約が約定どおり履行されるときは、一部弁済として取り扱われることとなる。 |
手付金等 テツケキントウ |
代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであって、契約の締結の日以後、取引物件の引渡し前に支払われるものをいう(宅建業法41条l項)。 |
転貸借 テンタイシャク |
賃借人乙が、賃貸人甲かち借りた物を第三者丙に又貸しすることをいう。乙が丙に転貸するためには甲の承諾を必要とし、これに反して転貸すると、甲は目的物の所有権に基づいて丙にその引(明)渡しを求めることができるし、乙に対しては賃貸借契約を解除することができる(民法612条)。ただし、特に家屋等の場合には、転貸が甲に対して背信行為にならない特段の事由があるときは、解除できないと解されている。また、借地の場合には、甲が転貸を承諾しないとき、裁判所が承諾に代わる許可を与えることができる(停地借家法19条1項)。甲の承諾を得た転貸では、甲は丙に対しても、直接賃料の請求をすることができることになる(民法613条)。 |
登記権利者・登記義務者 トウキケンリシャ・トウキギムシャ |
対立する当事者が、共同して登記申請する場合の登記手続上の呼称である(不動産登記法26条l項)。登記権利者とは、その登記が実行されたとき、その権利についで利益を受けることが登記簿上直接的に表示されることになる権利の名義人をいい、登記義務者とは、それとは逆にその権利につき不利益を受ける‐ことが登記簿上、直接的に表示されることになる権利の名義人をいう。例えぱ、売買による所有権移転登記にあっては買主が登記権利者、売主が贅記義務者となる。また抵当権設定登記にあっては抵当権者が登記権利者、設定者が登記義務者となるが、その抹消登記の申請では、反対に設定者が登記権利者、抵当権者が登記義務者である。 |
登記の公信力 トウキノコウシンリョク |
登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者は、たとえ登記名義人が真実の権利者でないような場合でも、一定の要件の下でその権利を取得することが認められることをいう。わが国では、登記の公信力を認めない。したがつて、いくら登記名義人が真実の所有者と思って、その者から不動産を買い受けたとしても、真の所有者からはそれを取り上げられることになるので、不動産の取引では、登記簿を閲覧するだけでは不十分ということになる。これに対して、動産では占有に公信力が認められるから、売主の所有と信じた買主は、そぅ信じるについで過失がなけれぱ、真の所有者がほかにあっても、その動産の所有者となることができる(民法192条)。 |
登記簿 トウキボ |
私法上の権利の得喪・変更など関係事実の存在を公示かつ保護するため、一定の事項を記載した公の帳簿をいい、不動産登記簿、船舶登記簿、商業登記簿がある。 |
登記簿謄本 トウキボトウホン |
登記用紙と同一様式の用紙をもって、(1)登記簿の一用紙に記載した事項を遺漏なく全部謄写したもの(不動産登記法施行細則35条の2本文)、(2)又は法令で定められた一部の事項を除くその他の事項の全部を謄写したもので、登記官の認証したものをいう。後者には、(1)現に効力を有する登記のみを謄写して作成したもの(同細則35条の2ただし書)(ただし、その場合は、その旨が記載されている)、(2)共同人名票の謄写のみを省略し、その余の事項全部を謄写して作成したもの(同細則35条の3第l項)、(3)共同担保目録、信託原簿、又は工場抵当の機械器具目録の謄写のみを省略し、その余の事項全部を謄写して作成したもの(同細則35条の3第2項)がある。登記簿謄本はだれでも手数料を納付して、直接に、または郵送料を切手で納付すれば郵便でも申請できる(同法21条)。 |
道路位置の指定 ドウロイチノシテイ |
道路法、都計法、土地区画整理法、都市再開発法等によらないで築造する道路(幅員4メートル以上)で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(位置指定道路)については、建基法上の道路として接道義務、道路内建築制限、容積率、道路高さ制限等の規定が適用される(建基法42条1項5号)。この道路位置の指定についでは、袋地状道路とすることができる場合の当該道路の延長の制限や自動車の転回広場の設置、すみ切りの設置、縦断勾配等に関する基準が政令で定められている(同法施行令144条の4)。 |
特定道路 トクテイドウロ |
建基法で幅員15メートル以上の道路のこと。幅員6メートル以上12メートル未満の前面道路が、延長70メートル以内の部分において特定道路に接続する場合に、特定道路までの距離に応じて前面道路の幅員加算が行われる(建基法52条8項)。 |
取引事例(成約事例) トリヒキジレイ |
宅建業者が媒介を行った売買・交換及び賃貸借の不動産取引について成約時期、対象物件、取引物件、当事者の事情等の取引内容を整理し、資料事実に表現したものをいう。業者が媒介契約締結に際し売却物件を取引事例と比較検討することにより、依頼者へ助言する意見価格の根拠として必須であるほか、市場調査、地価動向、相場気配等の不動産取引実態把握に役立つところが大きい。宅建業者は登録物件についての売買・交換の契約が成立したときは、遅滞なく、指定流通機構に報告しなけれぱならない(宅建業法34条の2第7項)。 |
取引態様の明示 トリヒキタイヨウノメイジ |
宅建業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするとき、及び注文を受けたときは、次のいずれの立場であるかを明らかにしなければならない(宅建業法34条)。それは、(1)自己が契約の当事者となって売買又は交換を成立させる、(2)代理人として、売買、交換又は貸借を成立させる、(3)媒介して売買、交換又は貸借を成立させる、の3態様であるが、これを明示する必要があるのは、取引態様のいかんにより法律上の効果や報酬の額が異なるからである。なお、取引の途中で取引態様が変わったときも、遅滞なく明示し直さなければならない。明示の方法は、口頭でも書面でも良いが、紛争を防ぐためにも書面でするほうが望ましい。 |
な行
2項道路 2コウドウロ |
建基法42条2項に定められた建基法上の道路なので、一般にこう呼ぱれる。みなし道路ともいう。昭和25年11月23日以前(この日以降に都市計画区域に指定された区域内の場合は、指定の日の前日以前)から建物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものは建基法上の道路とみなされ、道路の中心線から2メートル後退したところに道路境界線があるとみなされる。ただし平成4年の法改正により、特定行政庁が指定する区域内においては原則として幅員6メートル以上が道路として取り扱われれるが、この6メートル区域指定を受けた場合は、道路の中心線から3メートル(避難や通行の安全に支障がない場合2メートル)が道路境界線とみなされる。また道路の片側がJI|やがけ等の場合は、それらの境界線から4メートル後退したところが道路境界線とみなされる(建基法42条2項)。不動産の広告に当たっては、建基法42条2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地についてはその旨を表示し又セットバックを要する部分の面積がおおむね1割以上である場合は、その面積も表示しなければならない(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則3条3号)。 |
農地等の権利移動の制限 ノウチトウノケンリイドウノセイゲン |
(1)農地又は採草放牧地についで所有権を移転し、又は地上権、賃借権等の使用収益権を設定し、若しくは移転する場合には農業委員会(その住所地以外の区域にある農地を取得する等の場合には都道府県知事)の許可を受ければならない(農地法3条l項)。許可を受けないでした売買契約等はその効力を生じない(2)農地又は採草放牧地を転用(採草放牧地を農地に転用する場合を除く)するために、これらの土地について、(1)の権利(同法3条1項本文に掲げる権利)を設定し、又は移転する場合は当事者が都道府県知事(同一事業の目的に供するため4へクタールを超える農地等の権利を取得する場合には、農林水産大臣)の許可を受けなければならない(同法5条1項)。無許可の売買契約等はその効力を生じない。 |
は行
媒介 バイカイ |
宅地又は建物の売買、交換又は貸借のなかだち(とりもち)を宅建業者に依頼する契約のことをいう。宅地又は建物の売買又は交換等をしようとする場合、自分の希望する条件(価格、引渡し時期等)に合った適当な相手方を、広い範囲から探し出すことは極めて困難である。そこで、これらの取引をする際に、両者の間をとりもつことを専門としている宅建業者に、取引の相手方を探すよう依頼することになる。このときの依頼契約を媒介契約という。宅建業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関する媒介契約を締結したときは、後日、媒介契約の存否、内容、報酬等をめぐって紛争等の生ずるのを防止するため、遅滞なく、一定の契約内容を記載した書面を作成し(媒介契約の内容の書面化)、依頼者に交付することが義務づけられている(宅建業法34条の2)。なお、媒介契約は、(1)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができる一般媒介契約(明示型と非明示型がある)、(2)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができない専任媒介契約、(3)依頼者が依頼をした宅建業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない専属専任媒介契約がある。 |
媒介契約 バイカイケイヤク |
宅地又は建物の売買、交換又は貸借のなかだち(とりもち)を宅建業者に依頼する契約のことをいう。宅地又は建物の売買又は交換等をしようとする場合、自分の希望する条件(価格、引渡し時期等)に合った適当な相手方脅、広い範囲から探し出すことば極めて困難である。そこで、これらの取引をする際に、両者の間をとりもつことを専門としている宅建業者に、取引の相手方を探すよう依頼することになる。このときの依頼契約を媒介契約という。宅建業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関する媒介契約を締結したときは、後日、媒介契約の存否、内容、報酬等をめぐって紛争等の生ずるのを防止するため、遅滞なく、一定の契約内容を記載した書面を作成し(媒介契約の内容の書面化)、依頼者に交付することが義務づけられている(宅建業法34条の2)。なお、媒介契約は、(1)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができる一般媒介契約(明示型と非明示型がある)、(2)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができない専任媒介契約、(3)依頼者が依頼をした宅建業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない専属専任媒介契約がある。 |
標準媒介契約約款 ヒョウジュンバイカイケイヤクヤッカン |
建設大臣(現・国土交通大臣)が定めた標準的な媒介契約書で、(1)標準専任媒介契約約款、(2)標準専属専任媒介契約約款、(3)標準一般媒介契約約款(明示型)の3種類がある。媒介契約書には、頭書部分の契約書欄には、依頼者、受託者名等、そして、成約に向けての努力義務、違約金等、有効期間、約定報酬額、約定報酬額の受領時期、所有者等、目的物の表示、価額等を記載することとなっている。また、媒介契約約款欄には、媒介契約特有の留意事項が記載されている。宅建業者が依頼者から宅地又は建物の売買又は交換に係る媒介の依頼を受け、了承したときは、遅滞なく、一定事項を記載した書面を依頼者に交付しなければならないが(宅建業法34条の2)、書面に記載する事項が詳細で、かつ、その文章の内容が明確でなけれぱ実際の取引の際役に立たないので、円滑な取引の確保と一般の依頼者の保護の観点から建設大臣が標準媒介契約約款を定め告示(昭和57年建設省告示第1110号)した。その後、業法改正により、専属専任媒介契約制度の創設や専任媒介契約の指定流通機構への登録の義務づけがなされたことにより改訂告示(平成2年建設省告示第115号)され、宅建業者に対し引き続き標準媒介契約約款を使用するよう指導が行われている。 |
不動産登記簿 フドウサントウキボ |
登記事項である不動産の現況及ぴ不動産に関する権利関係を公示するため、l個の不動産ごとに設けられる公の帳簿をいい、不動産の所在地を管轄する登記所(法務局)に保管されている。不動産登記簿は、不動産の現状を公示する表題部と権利関係を公示する甲区・乙区の用紙からなっている(不動産登記法16条)。なお、信託原簿等は登記簿とは別途編緩されるが、登記簿の一部とみなされる(同法110条の6)。不動産に関する登記簿は、不動産登記法に基づく土地登記簿・建物登記簿のほか、特別法に基づく立木登記簿(立木ニ関スル法律12条)等がある。 |
不動産の表示に関する公正競争規約 フドウサンノヒョウジニカンスルコウセイキョウソウキヤク |
不当景品類及び不当表示防止法10条の規定に基づき公正取引委員会の認定を受けて、不動産業界が設定した不動産の取引に関する広告その他の表示に関する自主規制基準。同法4条(不当表示の禁止)の解釈基準の一つとして取り扱われる。北海道、東北、首都圏、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州」の9地区に不動産公正取引協議会並びに不動産公正取引協議会連合会が設立されている。 |
保証金、敷金 ホショウキン、シキキン |
保証金とは、貸ビル業界の取引用語であり、元来はビルの建築協力金として発生し、預託を受けたビルオーナーは10年間据置きの後、11年目から年利2%付利の上、10年間でテナントへ均等返金するというような方式であり、昭和48年頃までのビルに多い。これは準金銭消費貸借契約と解される。しかしながら、最近の保証金は実質にはテナントの退去時まで据え置かれる敷金扱いのものがほとんどである。また、敷金とは、ピル賃貸借契約に付随し、テナントが賃料などの支払債務の担保としてオーナーに対し提供するもので、ビル退去時まで据え置かれる。 |
奔走義務 ホンソウギム |
媒介の依頼を受けた業者が依頼者のために契約の相手方を捜すなど、契約の成立に向けて努力する義務のことをいい、ときには契約を成立させる義務まで含む場合もある。一般的には、媒介の依頼を受けた業者に奔走義務はない。しかし、依頼者と専属専任媒介’契約や専任媒介契約を締結した業者は、物件を自社の所属する流通機構に登録する等、依頼者のために成約に向けて積極的に努力する義務を負うとともに、依頼者に対し媒介契約期間中2週間に1回以上(専属専任媒介についでは1週問に1回以上)業務処理状況を報告しなけれぱならないこととなっている。この点業者は一般媒介の場合より加重された義務を負うが、半面、依頼者に対し他業者へ重複して依頼してはならない義務を課すことになり、これに反した場合は違約金を請求できる。 |
ま行
元付け モトツケ |
物件の売り、又は買いの依頼を直接受けていることを業者間では元付けという。元付けした業者は元付け業者となるが、元付け業者のことを単に元付けということも多い。 |
盛土・切土 モツチ・キリツチ |
元の地盤の上に土を盛って宅地を造成した部分を「盛土」部分、元の地盤を削って宅地を造成した部分を「切土」部分という。傾斜地を造成した場合、1つの宅地で「盛土」と「切土」部分が混在する場合も多い。宅地造成等規制法では、宅地造成とは宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更をいい、土地の形質の変更とは、(1)切土をした土地の部分に高さが2mをこえるがけを生ずるもの、(2)盛土をした土地の部分に高さが1mをこえるがけを生ずるもの、(3)切土と盛土を同時にする場合において盛土をした土地の部分に高さが1m以下のがけを生じ、かつ、当該切土及ぴ盛土をした土地の部分に高さが2mをこえるがけを生ずることとなるもの(4)切土又は盛土をする土地の面積が500m2をこえるものをいうと規定されている(宅地造成等規制法施行令3条)。 |
や行
容積率 ヨウセキリツ |
前面道路の幅員により、その最高限度が制限されている(表参照/建基法52条1項及び2項)。なお、容積率の算定に当たって延べ面積に参入しないものとして、(1)建築物の地階で住宅の用途に供する一定の部分の床面積(同法52条3項)、(2)共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積(同法52条5項)、(3)自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設の用途に供する部分の床面積(同法施行令2条1項4号)などと定められているほか、幅員6m以上12m未満の前面道路が70m以内で幅員15m以上の道路(特定道路)に接続する場合は、特定道路までの距離に応じた数値を加えること(同法52条8項)等の特例がある。 |
用途地域 ヨウトチイキ |
都市に立地する多種多様な用途の建築物の混在を防ぐことにより、近隣の公害を防除するとともに、それぞれの地域に立地する建築物の機能を十分に発揮させ、各地域に予定された土地利用の内容に従った公共施設の計画的整備を可能にする制度であり、都市の土地利用計画の一つとして、地域地区制度の中核をなすものである。現行の用途地域は、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域及ぴ工業専用地域の12種類であり(都計法8条1項1号)、各用途地域内では、それぞれの目的に応じて建基法の規定により、建築物の用途規制及ぴ形態規制が行われる。 |
ら行
礼金 レイキン |
地域の慣習により、不動産の賃貸借契約に際し、借主から貸主に支払われる一時金の一種。通常は返還を要しないものとされ、賃料の前払的性格を有する。また、賃貸借の契約期間が長期で、譲渡又は転貸を認める契約条件の場合は、権利の譲渡的性格を帯びてくるものがある。このように、礼金の性格についでは、賃料の前払、借地権設定の対価等と様々な考え方があり必ずしもはっきりとはしていない。 |
路線価 ロセンカ |
市街地の道路に沿った土地の毎年1月1日における1m2当たりの評価額占路線価は、宅地の価額が同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに、国税庁が公示価格や売買実例を参考にして.決める。相続税、贈与税及び地価税では、市街地の土地をこの路線価で評価する。この路線価が載つている路線価図には、借地権割合も載っており、国税局や税務署で閲覧することができる。 |
わ行
分かれ ワカレ |
一つの取引における媒介報酬の合計は、依頼のあった取引の当事者双方から支払われた額を加えたものとなるが、それぞれの当事者から依頼を受けた業者が異なるときには、その取引に関与した業者は、それぞれ依頼のあった当事者から受領することとなり、この配分方法を意味する。 |