「不動産を売るには」
不動産取引は、多くの人にとって高額で、人生の中でも経験する機会が限られています。
買うときは販売業者や仲介の不動産会社が、手続きの援助をしてくれたり、かかる費用についても細かく助言をしてくれますが、不動産を売るときは、価格をはじめとして自分で自由に決めることができる部分が多いため、かえって複雑な知識が必要になります。
また、買うときにかかる諸費用や税金は、だれが買っても基本的に同じなので、販売会社や仲介業者の助言も適切ですが、売る時にかかる税金は、元の持ち主の個人的な事情で、税の減免を受けることができたり、所有期間が5年超から5年以下によって税率まで変わるため、標準的な助言を受けても、時には自分に当てはまらないこともあるので注意が必要です。
売る時に必要なものは、諸費用や税金などのお金のほかに、登記済み権利証または登記識別情報、売主が一人でない場合は全員の印鑑証明と、抵当権が設定されている場合は、債権者から抵当権抹消に必要な書類をもらって準備しておく必要があります。
売るときの注意点は、住宅ローン返済中など、抵当権が設定されている場合、抹消しないと売却することはできません。
売却金額の完済で切る場合は完済した残金が手元に残り、不足する場合は資金を用意して完済するか、残債の担保がなくなるので代わりの担保を提供したり、無担保への切り替えを債権者に承認してもらうなど、債権者の同意が必要になることです。
売るときの費用は、仲介業者に支払う仲介手数料のほかに、所有権移転登記の費用は買い手により負担するのが原則です。
抵当権抹消の登記を要する場合、その費用は売主が負担する必要があります。
仲介手数料や登記費用、残債務がある場合の債務の清算に必要なお金は、売買代金の決済と同時に必要なため、売却したお金の中から支払うことができます。
ただし、売る時にかかる税金は、売却した翌年の3月15日までに確定申告をして所得税を納税し、6月に通知される地方税を1年間かけて支払うことになります。
売却して手元に残ったお金を使ってしまうと、納税の資金が足りなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
不動産売却の税金は、売却した金額ではなく利益に対して課税されるため、買ったときより値段が下がっていれば税金はかかりません。
値段が上がっている場合、所有期間5年以内の短期譲渡所得では所得税と地方税合わせて39.63%、5年超の長期譲渡所得では20.42%と、税負担はおよそ倍の違いがあります。
売却する場合、費用がどれくらいかかるか、税金の資金はいくら残しておく必要があり、手元はいくら残るかをあらかじめ試算しておくと安心です。