「空き家管理」
Q:転勤で一戸建住宅を空き家にします。
空き家にすると傷みが早いと言われますが、具体的にはどんな感じに痛むのでしょうか?
外壁や庭は手入れをしないので汚れたり、ゴミがたまるのは想像できるのですが、室内は風が通らないからほこりがたまったりすると思います。
A:空き家による一戸建住宅、特に木造住宅は災害や破損が無くても傷みは早いです。
主たる原因は、ほこりがたまるからではなく、室内に風が通らないからというのが問題なのです。
問題となるのは汚れではなく、空気の流れが無い室内での湿気が原因になります。
家を長持ちさせるため特に問題となってくるのが「壁体内」の湿気です。
見えないところにも湿気がこもり、シロアリや腐朽菌、カビ・ダニが気付かないところで発生なんてことになってしまうこともあるようです。
木を長持ちさせないというのは腐朽菌が、「木を腐食させる」からで、バクテリア、カビ類、キノコ類などがそれにあたり、どれも木材の強度を弱くしてしまいます。
腐朽菌が繁殖するには適度な空間と、温度・空気・水分・栄養源が必要になるので、そういう要素を揃わない工夫をすることで家を守ることができます。
湿気対策で大事な点になっているが「耐久性と耐震性」です。
腐朽菌の繁殖には、木材の含水率が25%~30%以上必要とされていますが、通常の木材の含水率は約15%です。
家が呼吸できれば、湿気はこもらないのです。
湿気のこもらない工夫をしていくことで、「家」を守ることになるのです。
空気の流れが無いと、湿度の高い空気と低い空気の攪拌がおきませんので、湿度の高い部屋や場所、湿度の低い場所が固定することになります。
家全体で考えると、湿度の高い部分はいつも木材が膨張ぎみに、低い場所はいつも乾燥ぎみになります。
たとえば、乾いた空気は天井側に、湿気のある空気は重いので床側に移動します。
すると床はいつも湿っており天井は乾いています。
2階でも同様となり、2階の床は湿っていて、1階の天井は乾いています。
そうすると、湿気(膨張)と乾燥(収縮)にはさまれた状態となり、1階と2階の境にある構造躯体のゆがみがでてきます。
家がゆがんだ状態を続けることにより、隙間やゆがみが固定するからよくないのです。
これが何年も続くといわゆる傷んでくることになります。
冬の窓ガラスの結露も壁の内部でも現象がおきています。
見えない場所だから、気にはならないかもしれませんが、腐朽菌やシロアリなどの発生原因になってしまいます。
さらに、湿気があるところにはカビの問題があります。
カビを栄養源とするダニ類までも発生させてしまいます。
いろんな場所で一定した空気の流れがあると、時間的に家が乾燥したり膨張したり均等になりますから、全体として安定しているのです。
単純に乾燥すればよい、ということではなく「家が呼吸している」といわれるように、人が住んで空気の流れが頻繁に生じる状態によって、家全体があちこちで偏りなく膨張・収縮を繰り返す結果、家を長持ちさせます。