「空き家問題の対策のカギと成功事例」
マイホーム手放さず、空き家を生かして賃貸に
子どもが成長し、家を持て余している高齢世代は、家族構成の変化などを受け持ち家が広すぎるため、立地の良い住宅に住み替えたいと思う人は少なくありません。
そういった中、住まいを手放さずに他人に貸し、安定した賃料収入を得るという空き家を生かした活用法があります。
これにより自宅を売却することなく、住みかえや老後の資金として活用することができます。
「まさに幸運でした」と、敷地面積35坪ほどの家が立ち並ぶ東京都内にある住宅街の一角に住む60代夫婦は目を細めます。
近所に引越し、住んでいた家を賃貸に出したところ、借り手がついたそうです。
以前住んでいた住まいは、築35年ほどで長年、住み慣れた家ですが、息子一家が十数年前近所に家を購入しました。
以前の家をどうするか思案していた昨年10月、区の広報誌で、制度利用者(対象は五十歳以上)の自宅を借り上げて転貸するこの制度の説明会があることを知りました。
離れて暮らす娘一家が戻るかもという期待もあり、以前住んでいた家は売りたくなかったのです。
この制度なら元の家を手放さないまま経済的な負担を減らせる。
協賛する不動産業者が仲介に入るため、賃借人と直接かかわらなくてもよいという利点もあるということです。
高齢化や空き家の増加に悩む地方自治体は多く、新聞、雑誌などや説明会の会場で制度を紹介し、制度を生かそうとする自治体が増えています。
安心してこうした人が家を貸し出せるように制度はスタートしました。
これまで約700件が市場に出され、97%で入居者が見つかったそうです。
こうした申請はマンション、一戸建てどちらでもよいですが、一定の耐震性が確保されていることが条件です。
築20年以上の一戸建てとなると、自宅の売却を検討しても、建物の資産価値が考慮されないことが多くみられます。
また、売却には抵抗があり、家賃の不払いなどのトラブルの心配で貸すのも不安があり
売ることも貸すこともできず、結局そのまま抱え込むケースとなってしまいます。
申し込んで入居者が決定すれば、今後、空き家になった場合でも、査定賃料下限の85%を目安とした賃料収入が生涯にわたって得られることもあるそうです。
契約基準は借り手と、契約が3年ごとに終了する定期借家契約を結ぶということです。
契約更新しなければ、家主が自宅に戻したり売却したりすることもできます。
条件が家主に有利ですが、家賃は周辺の相場より1、2割安めです。また敷金や礼金もありません。
賃貸活用が容易な物件は、都市の中心部でなく、郊外のベッドタウンにある家が大半にあります。
子育て世代の需要が少ない過疎地にある古民家などは、この制度に向いていない」と話す。オーナーは、より便利な場所や元の家と同じ沿線で引っ越す傾向という。
需要が少数な過疎地にある子育て世代の古民家などは、この制度に向いていないと言います。
家主は、より一層便利なところや以前の家と同じ沿線に引っ越す傾向です。
広さを求める子育て世代に高齢層の住宅を、安く貸すことで、住宅需要の解消ができれば空き家流通性のアップにもつながります