「危険家屋の解体撤去の法律、条例適用及び固定資産税の税金対策」
最近、空き家が非常に増えています。
高齢化が進み老人ホームなどに入居した後、その家の面倒を見る人がいなくなり、放置されたままの家が増えているのです。
その背景には、固定資産税などの税金のからくりと建築基準法などの法律が密接に絡んでいることによるものです。
しかし、これらの空き家は放置されたままになるとやがて家が崩れて危険家屋となる可能性があり、近隣にとって非常に危険な状態となるため大きな問題となっています。
なぜ空き家のまま放置されることが多いかというと、これは固定資産税の制度と大きく関係が有ります。
固定資産税には住宅用特例という法律の適用が有り、住宅として住む場合に限り土地や家屋の固定資産税が最大1/6まで減額される制度が有ります。
逆に空き家を撤去して更地にするとこの住宅用特例が除外され、高い固定資産税を支払わなければならなくなるため、いわゆる税金対策として空き家をそのままにしているケースが多いのです。
しかし、最近ではこの空き家が危険家屋となり、近隣に迷惑をかける問題が頻発していることから、解体を促進する条例はこれまでもあちこちの自治体で施行されています。
しかし、明確な罰則規定がなかったことから、解体や撤去が思うように進まず、問題が大きくなるケースが増えてきていました。
その為今回、特定空き家の指定とこれに伴う法律が施行されることになったという背景があります。
この法律では、特定空き家を倒壊の恐れや衛生上問題のある空き家と定義し、この定義を受けた家の持ち主に対しては早期の修繕や撤去の勧告を行うほか、住宅用特例の適用を除外することになっています。
また、特定空き家と指定するかどうかを判断する為に当該の家屋に対して立ち入り検査を行う権限も市町村に与えられているという、非常に厳格なものになっています。
その為、この立ち入り調査を拒否することはできず、拒否したり妨害した場合には罰せられることになるため、注意が必要です。
また、特定空き家に指定された場合、一定期間内に対策を実施しない場合には罰金の支払いを命じることが出来るほか、建築基準法に基づき危険家屋として強制撤去をされることも有ります。
このように今回の特定空き家に関する法律は従来の条例などで規定されたものに対して非常に厳しく、また実際の罰則も明確に規定されています。
その背景には今までの条例等だけでは危険家屋の対策が十分ではなかったこと、さらに倒壊による被害などが社会問題になっていることから国としても何らかの対策を講じる必要があると判断され、施行されたものであり、今後適用される機会が増えていくと思われます。